涼宮ハルヒシリーズ第6作『涼宮ハルヒの動揺』を読みました。
『退屈』『暴走』に続き短編集第3弾。それぞれに感想を書いていきます。
ライブアライブ
北高の文化祭で、ハルヒと長門がバンドに参加するお話です。
神回のライブアライブ。この話に関してはアニメで語りたいところで、原作だけで良さを語るのは難しいので、アニメとの違いについて書きます。。一言添えておくと、アニメを観られる方はアニメを観ましょう。
アニメとの違いは、アニメでは「God knows…」と「Lost my music」の2曲ありましたが、ラノベではハルヒが歌っている曲は5曲ありました。ただ、ラノベでは歌の詳細は描かれておらず、アニメの2曲はアニメオリジナルによる演出で描かれていました。
(God knows… は神曲。)
それから、アニメでのバンドメンバーは4人いたのに、ラノベでは3人となっています。グループ名についても、ラノベでは公開されていなかったのに、アニメでは「ENOZ」という名前が公開されました。
文字では難しい演出をアニメで再現されているので、アニメを観られる方はぜひ観てみてください。
ちなみに、God knows… のライブシーンは、ドラムやギターの作画がこの時代のものとは思えないほどぬるぬる動いて超絶すごいのですが、ぼくは、間奏のベースの開放弦を弾いたときの弦の震えがエグいと思いました。
朝比奈ミクルの冒険 Episode 00
『退屈』で製作された映画のお話です。
キョンがひたすらフォローを入れまくったり、ツッコんだり、小泉に殺意を抱いたり、みくるちゃんがせこせこ頑張っている裏でキョンも頑張ってるお話。以上!
あ、73ページ目の挿絵、小泉が朝比奈さんのお胸を触ってる感じは、キョンの殺意に同感しました。
ヒトメボレLOVER
長門が一目惚れされるお話です。
なんか嫌ですね。長門に近づく男がいるとは。
でもそれがあったからこそ、私は感情を持っている、と気づいた長門が今回も意思表示します。
キョン「告白が間違いだと解って、少しは残念だと思わなかったか?」
長門「・・・・少しだけ」
長門が恋愛感情も獲得しました。感情のないヒューマノイドから、感情を出すのが下手な文学少女になりましたね。
オチが秀逸で、短編としてはまあまあでしたが、長門がかわいく感じられたお話でした。
猫はどこに行った?
冬の山荘で行われた小泉考案の推理ゲームのお話です。
『退屈』の『孤島症候群』に続き、推理回第2弾です。第2弾と言っても、今回は小泉が最初から推理ゲームとして進行していて、小泉以外のメンバーがゲームを解くストーリーになっています。
小泉が猫を使ったトリックにこだわっていたのですが、その背景に、全国津々浦々シャミセンに似た猫を探しまわった努力があってちょっと褒めたくなりました。シャミセンの写真を片手に、猫のいそうな下町を徘徊して、マタタビを持って丹念に家や塀の隙間を覗き込んだりしてると、近所の人に怪しい人だとかストーカーだとか誤解を受けつつもいつものさわやかスマイルで切り抜けたり。それもこれも、ハルヒが期待を寄せている冬の山荘で行う推理ゲームのため。
なんだか哀愁を感じてしまいました。
超能力者が人力で苦労したんだなあと。
実際の推理ゲームの小泉は、芝居が白々しすぎたり、ヒントがわざとらしすぎたり、「いくら芝居だといえ芝居じみすぎているな」とキョンも言っているほどなんですが。まああとがきによると、小泉に対して「少しは考える身にもなって欲しいとしみじみ思いました。」と書いているので、小泉という人間が苦労している様を描いたのかなと思いました。
とはいえ、ストーリーもトリックもなかなかしっかり作られていて面白かったですし、谷川先生はミステリーにも精通しているんだなあと感じました。
谷川先生が本気で書いたミステリーも読んでみたいですね。
朝比奈みくるの憂鬱
朝比奈さんとキョンがデートをするお話です。
と言ってもタイトル通りで、唯一、超能力的なパワーを持っていない朝比奈さんが、自分の無力さを嘆いてるお話です。
未来人みくるが自分の使命に戸惑ったり、未来を書き換えさせないためにみくるは現在に存在していたり。物語性はありませんんでしたが、朝比奈さんの気持ちが明らかになった意味のある短編回だと思いました。
もはや自然に描かれている未来人みくるや、キョンが過去や未来に行き来するのってしっかりSFなんですよね。