涼宮ハルヒシリーズ第2作『涼宮ハルヒの溜息』を読みました。
涼宮ハルヒシリーズの中で、読書時間が1番かかったような気がします。そう思ったのが何故かというと、物語のテーマが文化祭と実にシンプルながらも、1日1日の日常的なストーリーが細かく描かれているところに時間の進みを遅く感じたのかもしれません。
今作は、文化祭という物語の中でハルヒの能力をきちんと認識できる最初の事件が起きて、「この結論ってどうなるの?」とヤキモキしながら読み進めることになりますが、そこを楽しむ作品になっているかなと思います。
『涼宮ハルヒの溜息』読後の感想
夏休みが終わって数日後、第三走者の長門が瞬間移動並みの速さを見せ、陸上部は自信喪失、SOS団の変態性も高まった狂乱の体育祭。それが終わり、次の高校イベント文化祭でSOS団が自主制作映画を撮影するのが今回の話。
(体育祭の話もわりと気になるところですね。みくるちゃんのパン食い競争とか、長門の騎馬戦とかあったら気になる。)
文化祭と言えば、霜降り明星のせいやが脚本した劇がMVPをとったことでいじめを跳ね返したというエピソードがありますよね。文化祭ってド派手に盛り上げたら学校で一瞬にして有名人になるという経験はぼくもあるので、高校で力を入れる甲斐があるイベントだったな〜と。まあハルヒの本当の狙いはそういうことじゃなくて、単純にみんなで作る過程を楽しみたいだけな気がしますが。
ハルヒがSOS団メンバーを振り回すというよりも、強引で独断すぎる雰囲気があって、このタイトルの「溜息」はSOS団メンバーの心情とかを表現してるのかなと思った始まりでした。
撮影中、ハルヒの潜在願望によって引き起こされる超常現象を上手く誤魔化し、それでいてハルヒが満足する映画を作り上げなければならないという理不尽な活動を強いられるSOS団のメンバー。
今作の見どころは、黒ずくめのマントに黒のトンガリ帽子、肩に三毛猫のシャミセンを乗せた長門ではないでしょうか。みくるちゃんがミクルビームや超振動性分子カッターなど超常現象を目から放出するたびに毎回押し倒して噛みついて、それらを相殺する作用を注入して防いでたんですよね。
長門「レーザー」
(中略)
長門「高い指向性を持つ不可視帯域のコヒーレント光」
(中略)
「レーザー光線が朝比奈さんの左目から放出されたんですね?」と小泉
(中略)
キョン「朝比奈さんは、マジで目からビームを出したのか」
長門「粒子加速砲ではない。凝集光」
どっちでもいい。レーザーでもメーザーでもマーカライトファープでも素人目には似たようなもんだ。荷電粒子砲と反陽子砲の違いだって知るものか。怪獣に効果があれば裏付けなんかいらん。
ここで問題とすべきは、怪獣も出てきてないのに朝比奈さんが熱線を出しちまったということだろう。
長門「熱線ではない。フォトンレーザー」(『涼宮ハルヒの溜息』p.138-141)
という会話。涼宮ハルヒシリーズに時折出てくるSFじゃなくてガチなやつ。
どうやらレーザーとビームは違うみたい。言葉の違いがあるのかちょっと辞書を引いてみると、ビームは太陽や灯りからの光線。目に見えない光やエネルギーの線。一方のレーザーは、光のビーム。お、レーザーはビームの一部っぽい感じですね。
もう少し調べてみると、レーザーは一点から周りへ光を出す方法に限定したもので、光がまっすぐ出ることがビームらしい。なるほど、レーザーはビームの中の1つの種類といった感じですかね。最後のフォトンレーザーに関しては、フォトンは光の素粒子の名前でレーザーと同義らしい。
専門的に解釈するのは難しいので、つまり、ビームは果物で、レーザーはりんごみたいな関係、だと解釈したところでこの辺の話は終わりにして。
とにかく、みくるちゃんがミクルビームや超振動性分子カッターなど超常現象を目から放出するたびに長門が毎回押し倒して噛みついて、それらを相殺する作用を注入して防いでたんですよね。
それにしても、人身事故にならずちょっとした惨事としておさまったのは、ハルヒは死者が出ることを望んでいないという思いがあったからでしょうか。
他の見どころをもう一つ言うと、長門を作った情報統合思念体と、みくるちゃんが来た未来と、小泉が所属する機関が対立しているようなことをほのめかす会話があったところですね。SOS団の5人は仲が良いように見えて、3人はそれぞれ任務を全うしているだけで、ハルヒのことを友達として考えているのはキョンだけだったり。この対立が良い方向の伏線になってくれたら良いのですが。そんなヤキモキする気持ちは、今作の締めとなるハルヒの映画完成とともに消えました。
最初にも述べた、このタイトルの「溜息」はSOS団メンバーの心情とかを表現してるのかなと思ったわけですが、読んでたぼくも思わず溜息をしたところで『涼宮ハルヒの溜息』を読み終えました。
そして、ここで終われないのが涼宮ハルヒシリーズの魅力で、涼宮ハルヒの虜になったところで第3作『涼宮ハルヒの退屈』に続きます。