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ラノベ『涼宮ハルヒの憂鬱』を読んだ感想

涼宮ハルヒという名詞がついた文庫本が書店でずらずらと並んでいるのを見たときはシリーズとして8,9作品ほどが並んでいました。もう11,12年も前になるでしょうか。

当時高校生だったぼくはライトノベルという種類の小説を知らなくて、かわいいイラストを見て買ったものの、まだ深夜アニメが流行っていなかった時代にかわいいイラストを周囲に見られるのが恥ずかしくて、表紙を隠しながら読んでいたような記憶があります。
(サムネイルの画像は、当時、限定表紙として販売されていたものを購入したものなので、現在は通常表紙のものが販売されています。)

そのシリーズ第1作となる『涼宮ハルヒの憂鬱』を久しぶりに読みました。その読後の感想や魅力を、ネタバレを伏せつつ、あらすじを交えつつ書いていきます。

『涼宮ハルヒの憂鬱』読後の感想

ラブコメがある日常と、SFがある非日常が交錯する物語。普通の世界系で、セカイ系の物語。転生はしない異世界も存在する、そんな物語です。

性格的に周囲と馴染めない女子高生を主人公にした、語り手の少年との日常にあるラブコメ的な青春ドラマかと思いきや、宇宙人、未来人、超能力者の副主人公たちとのとんでもない非日常もあり、日常と非日常とがうまく交錯するストーリーはなかなかに面白いです。

副主人公それぞれがSFな知識を使って語っているところは、このあたり作者がSFの知識を充分に咀嚼しているのが感じられます。ラノベを呼称することもない立派なSF作品なのに、ラノベの読者が求める美少女をキャラクターにしていて、いわゆる萌え絵的な表紙や挿絵が描かれているあたりラノベの定義を抑えているので、しっかりラノベです。

また、やれやれ系主人公、ツンデレヒロイン、ロリ巨乳、コスプレ、時間ループ、へんてこ部活、ハーレムなどなど、ラノベのテンプレをつくった歴史的作品でもあります。

 

この作品の大きな魅力は、主人公涼宮ハルヒのエキセントリックなキャラクター造形にあります。自分の興味の赴くままに行動する破天荒な性格でありながらも美少女で賢く、語り手のキョンにだけツンデレを発動するというめちゃくちゃに見えるようで思わず好きになってしまう、そんなキャラクターです。

そして、もう一つ大きな魅力が、語り手であるキョンです。読者を物語の世界観に自然と引き込んでくれるような一人称語りや、時折入ってくる饒舌で軽妙なツッコミが物語を飽きさせずに読み進めることができます。

 

ちなみに、セカイ系という意味は、評論家の東浩紀らが執筆した書籍『波状言論美少女ゲームの臨界点』編集部注釈の定義で、

「主人公とヒロインを中心とした小さな関係性の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」

と書かれています。


 

『涼宮ハルヒの憂鬱』魅力1:書き出し

サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことはたわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話だが、それでも俺がいつまでサンタなどという想像上の赤服じーさんを信じていたかと言うとこれは確信を持って言えるが最初から信じてなどいなかった。

本作品の書き出し。

現実を生きつつも、ひそかに非現実なことに憧れを持っている主人公を表現するような言葉。洒脱と冗長の間をすり抜けるような語り口が主人公の性格を表現しているようで、そして、何か物語を予感させるような書き出しが素敵です。

 

個人的には『劇場』に匹敵する名文に感じました。

「まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景が透けて見えたことはまだない。」


 

『涼宮ハルヒの憂鬱』魅力2:あらすじ・登場人物

あらすじと登場人物を簡単に紹介。

あらすじ

「ただの人間には興味ありません。
宇宙人、未来人、超能力者がいたら、
あたしのところに来なさい。以上。」

高校に入学したキョンは、入学早々ぶっとんだ挨拶をかました涼宮ハルヒに目を奪われます。

自己紹介の発言のみならず、その後も奇妙な言動ですっかり目立つ存在になってしまったハルヒでしたが、ある日、キョンはふとした拍子にハルヒに声をかけてしまいます。それをきっかけに、ハルヒと交流を持つようになったキョンは、破天荒なハルヒに振り回されるようになります。高校に入学した主人公・キョンと、入学直後の自己紹介で破天荒な発言をした涼宮ハルヒが出会うところから物語は始まります。常々、日常に退屈をしていたハルヒは、宇宙人や未来人などの存在と出会うべく、グラウンドに絵を描くなどの奇行を繰り返していたため、周りからは浮いた存在でした。

そんなハルヒに、キョンはひょんなことから声をかけてしまったことがきっかけで、ハルヒの立ち上げた部活「SOS団」に入部させられることになってしまいます。「SOS」とはすなわち、「世界を・大いに盛り上げる・涼宮ハルヒの団」という意味で、その目的は、宇宙人や未来人達を探し出し一緒に遊ぶことでした。

ハルヒは、キョンの他に、いつも本を読んでいる長門有希、小柄でマスコット的な上級生の朝比奈みくる、イエスマンでイケメンの古泉一樹を、ほとんど無理やりSOS団に入部させます。ですが、その3人こそ、実は宇宙人に未来人、そして超能力者だったのです。

そんな3人がハルヒのもとに集ったのも、ハルヒ自身が、自分の望みを具現化して世界を作り変えてしまうという神にも似た力を持っていたからでした。しかし、ハルヒ自身はそんな力を自分が持っているとは思ってもおらず、そのことを知っているのはハルヒ以外のSOS団だけです。

そんなメンバーの日常がまともな日常になるわけでもなく、キョン達は非日常に巻き込まれていきます。

 

登場人物

涼宮ハルヒ

「楽しいこと」を追求する天下御免のSOS団の団長。団員の連中曰く、ハルヒには本人が知らない大きな秘密があるらしい・・・。

世界を動かす力を無自覚に持っている主人公。
見た目は美少女なのに、あまりにも破天荒すぎる性格のため、周りの同級生が近寄らず。そんな中、ふいに話しかけられたキョンに何を思ったのか、ただの一般人であるキョンと行動を共にするようになります。

「ツンデレ」「ポニーテール萌え」という言葉はこの作品から派生したような気がします。

 

キョン

この物語の語り手にしてハルヒの最大の被害者。いつのまにか「やれやれ」が口グセになってしまった雑用係のヒラ団員。

時折入ってくる饒舌で軽妙なツッコミが、本作を読む上で欠かせない存在です。

 

朝比奈みくる

美と可愛さと癒しを持ち合わせた未来人。

童顔な萌えキャラを評価されて、強引にハルヒに連れてこられたSOS団唯一の上級生。純粋無垢な性格で団の癒し担当。

 

長門有希

宇宙的な組織から派遣されている最強のAI的知能を持った宇宙人。

元々は文芸部の部員だったが、部室をハルヒに乗っ取られ、なし崩し的に入団させられる。無口かつ無表情で、本ばかり読んでいる宇宙人。

 

古泉一樹

正体不明の機関に所属する超能力者。

高校一年の一学期に転入してきただけの理由で「謎の転校生」としてハルヒにスカウトされた。曖昧な笑顔がトレードマーク。

 

『涼宮ハルヒの憂鬱』魅力3:イラスト・いとうのいぢさん

神絵師です。

涼宮ハルヒたちを描いた人。

 

最後に

涼宮ハルヒたちによる物語の読者は、『涼宮ハルヒの憂鬱』から『〜の溜息』『〜の退屈』と進み、そして、突然それまでと明らかに雰囲気が違う『〜の消失』に遭遇します。


この作品の詳細を未読の読者のために話すことはできませんが、それまでの単なるSFとは違った物語になっており、ぼくはある種の感動や衝撃に襲われました。この感情はぼくだけでなく、他の読者からもシリーズで一番人気があることから証明できるかと思います。

そして、この感動は、この第四作だけを読んだからと言って生まれるものではありません。シリーズを順に読んできて、第四作にいたり、やっと生まれる感動です。涼宮ハルヒとそのメンバーにつきあい、その物語が日常のように思い始めているさなかに突然やってくる衝撃があります。この第四作があったからこそ、涼宮ハルヒという作品を長年好きでいられていると言っても過言ではありません。

それに、この作品によってラノベも面白い文学作品なのだと知ることもできました。第十作目『〜の驚愕』から9年経った現在に新作『〜の直感』が発売されるということで、この作品が人気シリーズとなっていることが伺えるかと思います。

 

本ブログも、一人称視点の言葉を織り交ぜていきながら執筆したいところですが、生憎、本編との文章に差別化ができる言葉を持ち合わせていないため、単調な文章になってしまっているのは言うまでもありません。

以上、感想でした。
ぜひ読んでみてくださいね。


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りん
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