感情に振り回されないための本、と聞くと「感情を抑えろ」「我慢しろ」という話を想像してしまう人も多いと思います。私も読む前は、その手の精神論が中心なのではないかと身構えていました。
実際に最後まで読んでみると、この本は感情を消す話でも、正しさを押し付ける話でもなく、「感情とどう距離を取るか」をかなり具体的に考えさせる内容でした。この記事では、私が読んでいる最中と読後に何を感じたかを軸に、この本が自分に合うかどうか判断できるように振り返っていきます。

この記事で分かること

  • 『感情に振り回されない』がどんな読み心地の本か

  • どんな考え方・気質の人に向いているか

  • 私が読んでいて引っかかった点と、合う・合わないの分かれ目

どんな人に向いている本か

  • 感情的になったあとに後悔することが多い人

  • 「冷静でいなければ」と自分を責めがちな人

  • 自己啓発書の断定的な語り口が苦手な人

1. 語り口・文体:感情を否定しない距離感に安心した

この本を読んで最初に感じたのは、語り口が思っていたよりも穏やかだったことです。
感情に関する本は、「こうすべき」「こう考えれば解決する」と結論を急ぐものも多い印象がありますが、本書では感情を「なくすべきもの」として扱っていません。

たとえば、怒りや不安が湧いてくる場面についても、「そう感じてしまうのは自然だ」という前提から話が進みます。そのうえで、「その感情にどこまで付き合うか」「行動まで引きずられる必要があるのか」を切り分けて考えていく構成でした。

読んでいる最中、私は「感情的になる自分は未熟だ」と無意識に思っていたことに気づきました。
この本の文体は、その自己否定を煽るのではなく、「感情はあるものとして扱えばいい」というスタンスで語られていて、読み手を追い詰めない点が印象に残りました。

 

2. テーマの扱い方:感情と行動を分けて考える視点

本書全体を通して繰り返し出てくるのが、「感情」と「行動」を切り分ける考え方です。
感情が湧くこと自体は止められないけれど、その感情のまま行動するかどうかは選べる、という視点が具体例とともに示されます。

たとえば、人間関係でイラッとしたときに、
「イラッとした自分は間違っている」と考えるのではなく、
「イラッとしたという事実」と「その後どう振る舞うか」を別物として捉える、という説明がありました。

読んでいて印象的だったのは、この考え方が特別なテクニックとして語られていない点です。
劇的に人生が変わる話ではなく、「少し間を置く」「一度考え直す」といった、ごく現実的な対応として描かれていました。

私自身、感情的になったあとに「もっと大人に振る舞えたはずだ」と後悔することが多かったので、
「感情が出た時点で失敗ではない」という整理の仕方は、読後もしばらく頭に残りました。

 

3. 読後の引っかかり:割り切れなさも含めて現実的だった

一方で、読んでいて少し引っかかった点もあります。
それは、感情と距離を取ることが「できる人」を前提にしているように感じる場面があったことです。

理屈としては納得できても、実際には余裕がない状況で感情を切り分けるのは簡単ではありません。
その難しさについては、そこまで深く掘り下げられていない印象も受けました。

ただ、その物足りなさは欠点というより、この本の立ち位置を示しているようにも思えました。
深く自己分析するための本というより、「感情に飲み込まれそうなときの考え方の選択肢」を提示する本だと感じました。

すべてを救ってくれる答えを期待すると合わないかもしれませんが、
「感情との付き合い方を少し緩めたい」と思っている人には、ちょうどいい距離感だと私は思いました。

 

結論:感情をコントロールしたい人より、責めたくない人にすすめたい

『感情に振り回されない』は、感情をうまく操る方法を教える本ではありませんでした。
むしろ、「感情がある自分を前提に、どう扱うか」を静かに考えさせる本だったと感じました。

感情を完璧に制御したい人には物足りないかもしれません。
一方で、感情的になった自分を責めがちな人や、冷静でいようとして疲れている人には、読み終えたあと少し肩の力が抜ける一冊だと思います。

私にとっては、「感情に振り回されない」という言葉の意味を、少し現実的に捉え直すきっかけになる本でした。
気になっているなら、一度手に取ってみてもいい本だと感じました。


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りん
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