種を1粒ずつ蒔いて自分のゴールに集めるボードゲーム「マンカラ」を、ブラウザで無料公開しました。6つの穴が2列・各穴4粒という標準ルール(カラハ式)はコンピュータで完全に解析されていて、両者が最善を尽くすと先手が29対19で勝ちます。そこでこのページでは、囲碁のコミと同じ考え方で、後から蒔く側のゴールに先蒔き料を3粒だけ入れて釣り合いを取りました。1局は5分ほどで終わります。会員登録もインストールも要りません。マンカラ|ルールが3分で分かる無料の種まきボードゲーム・CPU対戦のページを開けば、その場で始められます。この記事では作った側から、ルールの要点と、先蒔き料を3粒に決めるまでに測った数字を書きます。
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マンカラとは? 種を1粒ずつ蒔いて自分のゴールに集めるボードゲーム
マンカラとは特定の商品名ではなく、盤に彫った穴へ種や小石を1粒ずつ蒔いて回り、自分のゴールに多く集めることを競う「種まきゲーム」の総称です。アフリカ・中東・アジアに似たしくみの遊びが数え切れないほど伝わっていて、地域ごとに遊び方が違います。起源をひとつに断定できるものではありません。
りんブログのマンカラで遊べるのは、その中でもよく遊ばれている形のひとつ、片側6つの穴が2列・各穴4粒の「カラハ式」です。盤の上の種は合計48粒。あなたは画面の右の列と下のゴール、CPUは左の列と上のゴールを使います。自分の畑に落ちた種は丸くて艶のある白い種、相手の畑に落ちた種は細長い黒い種に変わるので、どちらの陣地にいくつ残っているかが数えなくても目で分かります。

- 料金:無料。会員登録・ログイン・インストールは不要
- 人数:1人用(CPU対戦。強さは3段階、先手・後手も選べる)
- 1ゲームの長さ:5分前後
- 対象年齢の目安:1から6まで数えられれば遊べるので6歳前後から
- 動作環境:iPhone・Androidのブラウザ、パソコンのブラウザ
マンカラのルールは4つ|すくう・1粒ずつ蒔く・もう一度手番・横取り
マンカラで覚えることは「1粒ずつ置く」ことと「最後の1粒がどこに落ちたかを見る」ことの2つだけです。手順に分けると4つになります。
- 自分の列の穴を1つ選び、中の種をすべてすくい上げる。空の穴は選べません。
- 次の穴から1粒ずつ順に落としていく。自分のゴールには入れますが、相手のゴールは飛ばします。種が多いと盤を一周して自分の穴にも戻ってきます。
- 最後の1粒がちょうど自分のゴールに入ったら、もう一度自分の番。続けて何度でも連鎖します。
- 最後の1粒が自分の列の「空だった穴」に落ちたら、向かいの相手の穴の種をすべて横取りする。
どちらかの列の穴がすべて空になったら終わりです。盤に残った種は、その列を持つ側のゴールに入ります。まったく同じ局面が3回現れたときと、両者の手数の合計が200手に達したときは引き分け・打ち切りで、残りを回収して数を比べます。
蒔く向きは片方向だけで、伝統的なマンカラでは反時計回りと呼ばれます。りんブログのマンカラでは、自分のゴールに向かって画面の下へ流れる向きです。相手のゴールを飛ばすので、自分から見た輪は「自分の6つの穴+自分のゴール+相手の6つの穴」の13か所になります。13粒すくうと1周してちょうど元の穴に戻り、14粒目からは2周目に入ります。相手の畑へ配り切るつもりで蒔いた種が自分の手元に返ってくるのはこのためで、大きな山を動かすときは1周ぶんの13粒を数に入れておかないと読みがずれます。
マンカラの横取り(キャプチャー)が起きる条件
マンカラの横取りが起きるのは、最後の1粒が自分の列の「空だった穴」にちょうど落ちたときだけです。そのとき、落ちた1粒と、向かい合う相手の穴の種をすべて自分のゴールに入れます。条件は次の3つで、1つでも欠けると起きません。
- 落ちた先が自分の列の穴であること(相手の列では起きない)
- その穴が蒔く前に空だったこと(最後の1粒で1粒目になる穴)
- 向かい合う相手の穴に種が入っていること(空なら何も起きない)
横取りをしても、もう一度の手番にはなりません。自分の空の穴は横取りの入口なので、うかつに埋めないでおくのがマンカラの基本の1つです。
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マンカラは先手が有利なのか|完全解析では29対19で先手が勝つ
マンカラの標準ルールは先手が有利です。片側6つの穴・各穴4粒のカラハ式はコンピュータで完全に解析されていて、両者が最善を尽くすと先手が29対19で勝つことが分かっています。サイコロもカードも使わず、盤の情報がすべて見えているゲームなので、先に動ける側の得がそのまま結果に出ます。運の要素がない2人用ゲームの読み合いについては、アルティメット三目並べのルールと勝ち方にも書きました。
先手の得は、いちばん最初の1手から始まります。開始局面で「もう一度自分の番」になる手は、6つの選べる穴のうち3番だけの1通りです。ゴールから3つ手前の穴には4粒入っていて、蒔くと最後の1粒がちょうど自分のゴールに落ちるからです。実際に開始局面の6手を1つずつ調べても、ゴールに届くのは3番だけでした。先手はここから連鎖を作れますが、後手はその1手ぶんを先に持っていかれた盤から始めることになります。
先手有利をどう埋めたか|囲碁のコミと同じ「先蒔き料3粒」
りんブログのマンカラでは、後から蒔く側のゴールに「先蒔き料」を3粒だけ入れて始めます。囲碁のコミとまったく同じ考え方で、ルールそのものは1つも変えていません。手番の有利を、蒔き方ではなく最初の持ち点でならしています。
3粒という数は、このゲームのCPU同士で対戦させて決めました。CPUは negamax にαβ枝刈りと反復深化を足した探索で、強さは読む手数で分けています。やさしいが2手先、ふつうが6手先、つよいが12手先です。思考は Web Worker に逃がしてあるので、読んでいるあいだも画面は止まりません。遊びの数値を作った側の勘ではなく自己対戦の数字で決めるやり方は、サイコロで守るターン制タワーディフェンスを公開した|ルート・ホロウでも同じで、あちらは難易度ごとの樹液の初期値を、素人の手で1,000局ずつ通したクリア率から決めています。

先蒔き料を0粒から11粒まで1粒ずつ変えて、それぞれ100局ずつ自己対戦させた結果が次の表です。狙いは「先手の勝率が50%の近くに収まること」でした。
| 先蒔き料 | ふつう(6手先)での先手勝率 | つよい(12手先)での先手勝率 |
|---|---|---|
| 0粒(何もしない) | 58.0% | 64.0% |
| 3粒(採用) | 48.0% | 56.0% |
| 9粒 | 32.0% | 30.0% |
7粒から11粒まではすべて24〜36%で、後手が勝ちすぎて範囲外でした。50%をはさんで収まったのが3粒だったので、そこで止めています。
なぜ開幕の4手だけをでたらめに指させたか
先蒔き料の測定では、開幕の4手だけを合法手から一様ランダムに指させ、5手目から本気で指させています。標準ルールには「畑の恵み」の印が無く、開始局面が1通りしかないためです。そのまま自己対戦させると毎回まったく同じ1局が再生されるだけで、読む手数を6手先にすると先手勝率10%、8手先にすると100%と値が飛んでしまい、標本になりませんでした。開幕だけを散らすと、同じルールのまま100通りの入り口から測れます。
毎回同じ対局にならないように入れた「±0.10粒」の揺らぎ
同じ理由で、対局そのものにも手当てが要りました。CPUの評価値には、局ごとの種と盤の並びだけで決まる±0.10粒ぶんの微小な揺らぎを足してあります。全51粒に対して0.2%以下なので勝ち負けは変わりませんが、これが無いと同じ設定の対局が毎回同じ手順をなぞります。揺らぎを入れる前は、つよい相手の20局で4通りの展開しか出ませんでした。±0.10を足すと8通りに増えました。
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全51粒のうち26粒で勝ちが決まる|終盤に何を数えるか
マンカラの勝ち負けは、ゴールに入った種の数だけで決まります。りんブログのマンカラは盤の48粒に先蒔き料が加わるので、数えるべき数は次のとおりです。
| ルール | 盤の種 | 先蒔き料 | 全体 | 勝ちが決まる粒数 |
|---|---|---|---|---|
| 標準(既定) | 48粒 | 3粒 | 51粒 | 26粒 |
| 畑の恵みあり | 48粒 | 9粒 | 57粒 | 29粒 |
26粒という数を毎回足し算しなくて済むように、ゴールの籠の内側には26粒の高さに金の線を編み込んであります。種が金の線を越えた時点で、相手が残り全部を集めても届きません。10粒ごとの浅い刻みも入れてあるので、数字を読まずに目盛りとして使えます。
ゴールに種を送り込む速さを決めるのは、もう一度の手番をいくつ作れるかです。ゴールのとなりの6番は、1粒だけ入っているときに蒔くともう一度の手番になります。ここを埋めずに1粒で残しておくと、必要なときに手番を1つ増やせます。連鎖を長くつなげたいときは、ゴールから遠い穴を先に動かすのがこつです。手前の穴から先に蒔くと、あとで使えたはずの「ちょうどゴールに届く穴」が崩れます。
終盤で効くのは、自分の列を空にする手です。自分の列を先に空にすると対局が終わり、盤に残った種は相手のゴールに入ります。逆に、自分の列にたくさん残っている状態で相手の列が空になれば、その種はすべて自分のものです。有利なときは早く畳み、不利なときは自分の列に種を残したまま相手を干上がらせる、という判断が最後の数手に出ます。
追加ルール「畑の恵み」は何をするのか|既定はオフ
「畑の恵み」はりんブログのマンカラだけの追加ルールで、既定はオフです。そのままなら標準のカラハ式で遊べます。オンにすると、毎局2種類の印が盤に付きます。
| 印 | 見た目 | 最後の1粒が落ちたとき |
|---|---|---|
| 水路 | 穴の縁の藍色の波線 | もう一度自分の番になる(ゴールと同じ効果。横取りは起きない) |
| 石 | 穴の中央の小石 | その1粒だけがゴールに入り、手番は相手に移る |
印は自分の畑と相手の畑の同じ番号の穴に対で付くので、どちらかが得をすることはありません。位置は局ごとに変わるので、同じ展開になりません。
ただし、印が増えると盤の分岐が増えて先手の利が大きくなります。そのため畑の恵みがオンのときは先蒔き料を9粒に切り替えています。この条件で測り直すと、先蒔き料なしでは先手勝率がふつうで75.5%(100局)まで上がり、9粒で各300局を測ってふつう47.3%・つよい54.3%・やさしい35.7%に収まりました。標準ルールで使っている3粒をそのまま流用すると釣り合わないので、2つの値を別に持っています。
「今日の収穫」はどう作っているか|最大に届く初手が1通りの局面だけ出す
「今日の収穫」は毎日0時に切り替わる1人用のパズルで、誰が開いても同じ問題が出ます。相手は動かず、あなたの1手番の連鎖だけでゴールに何粒入れられるかを競います。目標の粒数は、すべての手順を1手番の中で10回まで調べ尽くして求めた最大の収穫数です。
日付から作った種で局面を組み、次の4つを全部満たしたものだけを出題しています。満たさなければ種を進めて組み直し、最大400回まで試します。
- 最大の収穫が5粒以上あること(3〜4粒では手応えがない)
- 最大に届く最初の一手がちょうど1通りであること(当てずっぽうではクリアできない)
- 最善の手順が2手以上の連鎖になっていること
- 最善の手順の途中で対局が終わってしまわないこと
この条件がどのくらい厳しいかを、2026年10月20日から90日ぶんの問題を生成して数えました。90日ぶんを作るのに候補の局面を321通り組み、採用されたのは90通り(28.04%)でした。落ちた231通りの内訳は、収穫が5粒に届かないものが124通り(53.7%)、盤の形が条件から外れるものが48通り(20.8%)、最大に届く初手が複数あるものが40通り(17.3%)、連鎖が短いものが17通り(7.4%)、途中で終局するものが2通り(0.9%)です。
その90日ぶんの目標は5粒から15粒に散り、平均8.07粒・中央値7粒でした。正解の連鎖は3手から10手、平均5.59手です。1手番のあいだに5回も6回も蒔き続けることになるので、見た目より長い手順を組む問題になっています。毎日の問題を機械で作って「当てずっぽうでは解けない」を担保する考え方は、数独の上級手筋7つ|X-Wingの次に覚える順番を6000問で調べたで数独の手筋を6000問で調べたときと同じです。自作ゲームでは伏せて同時に出す読み合いゲームを無料公開した|サルベージ・ベルの「今日の引き揚げ」も同じ作りで、あちらは全手順を調べて、最適手順で勝てる日だけを出題しています。
マンカラで遊ぶには|料金・保存先・遊べる場所
りんブログのマンカラは、ブラウザを開けばその場で始められます。料金はかからず、会員登録もインストールも要りません。
- 料金:無料。広告はゲームの操作部分から離した本文の下に1か所だけ
- 遊べる場所:マンカラ(無料・CPU対戦の種まきボードゲーム)
- 保存先:戦績と設定はお使いのブラウザにだけ保存される。サーバーには送らない
- 戻せる手:「待った」で自分の手とCPUの応手を1組ぶん戻せる。回数の制限なし
- ほかの自作ゲーム:りんブログのアプリ・ゲーム一覧
盤の見た目は、西アフリカの中庭で遊ばれてきた木彫りの盤から着想を得て、昼下がりの葉陰の中庭として組み立てたものです。特定の地域の実在の盤や意匠を再現したものではありません。穴の番号もアラビア数字では書かず、盤の中央の尾根に彫った浅い窪みの数で示しています。実物の盤に数字は彫られていないためです。
先蒔き料の3粒は、CPU同士の自己対戦で測った値です。人が指すとCPUとは違う手を選ぶので、人同士の対局でも3粒がちょうどいいかどうかは別の話になります。遊んでみて釣り合いが崩れていると感じたら、測り直す材料にします。