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軍人将棋を審判なしで1人で遊べるようにした|無料・CPU対戦

相手の駒が正体の見えない影のまま戦うボードゲーム「軍人将棋」を、ブラウザで無料公開しました。軍人将棋は本来、対戦者2人のほかに勝敗を判定する審判が要る3人用の遊びですが、この軍人将棋はCPUが相手をして画面が自動で判定するので、1人で遊べます。盤は6列×7行、駒は1人12枚で、1局は5〜8分です。会員登録もインストールも要りません。軍人将棋|審判のいらない無料のCPU対戦(ブラウザ)のページを開けば、その場で始められます。この記事では作った側から、駒の強さと動きの全部と、編成の釣り合いを720局の自己対戦で確かめた経緯を書きます。

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軍人将棋とは? 相手の駒が影のまま戦うボードゲーム

軍人将棋とは、おたがいの駒の正体を隠したまま動かし、同じマスでぶつかったときに階級の高い方が勝つボードゲームです。明治時代から日本で遊ばれてきた遊びで、行軍将棋とも呼ばれます。相手の駒が何なのか分からないので、動き方と戦いの結果から正体を推理していくところが中身になります。

このページの軍人将棋は、盤が6列×7行の42マス、駒が1人12枚です。手前の2行があなたの陣、奥の2行が相手の陣、あいだの3行が戦場になります。陣はちょうど12マスなので、対局のはじめは自分の陣がすべて埋まっています。相手の軍旗を取るか、相手の動ける駒をすべて消せば勝ちです。双方が動けなくなったとき、または合計120手に達したときは引き分けになります。

画面では、あなたの駒を朱色に彩色された切り絵、相手の駒を白い布に映った黒い影として描いています。影は12枚とも輪郭も大きさもまったく同じで、階級によって形が変わることはありません。影から階級を読み取ることはできない作りです。革を彫った切り絵を灯りにかざす見せ方は東南アジアの影絵芝居から着想を得たもので、特定の地域の演目や実在の劇団とは関係ありません。

軍人将棋の対局中の画面。奥に相手の黒い影が並び、手前に朱色の切り絵の駒が並んでいる

  • 料金:無料。会員登録・ログイン・インストールは不要
  • 人数:1人用(CPU対戦・強さ3段階)
  • 1局の長さ:5〜8分
  • 動作環境:iPhone・Androidのブラウザ、パソコンのブラウザ

軍人将棋に審判が要るのはなぜか|1人用にするために解いた問題

本来の軍人将棋は、対戦者2人と、勝敗を判定する審判の合計3人が必要です。相手の駒が見えないので、駒がぶつかったときにどちらが勝ったかを、当人どうしでは決められないからです。両方の駒を見られるのは審判だけで、審判が「手前の勝ち」と告げて初めて盤が動きます。つまり軍人将棋は、3人めが席に着かないと始まらない遊びでした。

このページの軍人将棋は、その3人めを画面が引き受けます。相手の影がいるマスへ隣から進むと戦いになり、両方の駒が布に押し当てられて正体が一瞬だけ浮かび、階級の高い方が盤に残ります。判定を告げる人は要りません。CPUが対戦相手をするので、遊ぶのに必要な人数は1人です。

正体を隠す型のボードゲームとしてはストラテゴが知られていますが、あちらは階級の書かれた面を自分の側にだけ向けて立てるので、おたがいが自分の駒を確かめられ、審判が要りません。軍人将棋は駒を伏せて置くため、判定に3人めが必要になります。この記事の軍人将棋が最初に解いた問題は、強いCPUを作ることではなく、この「3人め」をどうやって消すかでした。

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軍人将棋の駒の強さと動き|階級と3つの例外

軍人将棋の階級は大将5・中将4・少将3・大佐2で、少尉・スパイ・工兵はどれも1です。数字の大きい方がそのマスに残り、同じ数字なら相討ちで両方が盤から消えます。軍旗と地雷は階級で比べません。

駒 階級 枚数 動き 特別なはたらき
軍旗 — 1 動けない 取られたら負け
大将 5 1 前後左右に1マス スパイにだけ負ける
中将 4 1 前後左右に1マス —
少将 3 1〜3 前後左右に1マス —
大佐 2 2〜5 前後左右に1マス —
少尉 1 0〜2 前後左右に1マス —
スパイ 1 1 前後左右に1マス 大将にだけ勝つ
地雷 — 1 動けない 仕掛けてきた駒に勝つ。工兵にだけ負ける
工兵 1 1 縦横にまっすぐ何マスでも 地雷に勝つ

階級の数字だけで決まらない例外は3つです。スパイは大将にだけ勝ちます(どちらから仕掛けても同じです)。地雷は仕掛けてきた駒すべてに勝ちます。工兵だけは地雷を取り除けるので、工兵から仕掛けたときは工兵が勝ちます。大将はスパイに弱く、どの駒も地雷に弱く、地雷は工兵に弱い、という三すくみになります。

枚数に幅があるのは編成で変わるためで、軍旗・大将・中将・スパイ・地雷・工兵はどの編成でも各1枚です。駒の種類は9つに絞ってあり、市販の軍人将棋にある中佐・少佐・大尉・中尉・タンク・飛行機・騎兵は出てきません。種類を減らしたのは、1局を5〜8分で終わらせるためです。

階級1の3枚は、強さの数字こそ同じですが、価値はまったく違います。CPUの内部では工兵44・スパイ34・少尉13という別々の重みを持たせていて、階級3の少将(38)より工兵のほうが高い値です。工兵は地雷を取り除ける唯一の駒で、スパイは大将を1枚で消せるからです。少尉は階級1のなかで唯一、代わりのきく捨て駒という位置づけになります。相手の階級を確かめたいときに最初にぶつけるのは、この少尉か大佐です。

工兵の動きには、この軍人将棋で加えた制限が1つあります。工兵は縦横にまっすぐ何マスでも走れますが、戦いを仕掛けられるのは隣り合ったマスに対してだけです。離れた駒をそのまま射抜けるようにすると、伏せたままの工兵が盤の端から軍旗を一撃で取れてしまい、受ける側に手の打ちようがなくなります。走って近づくことと、斬り込むことを別の手に分けています。

正体が分かるのは2つの場合だけ|ぶつかったときと、まっすぐ走ったとき

軍人将棋で相手の駒の正体が分かるのは、ぶつかって戦いが起きたときと、その駒が2マス以上まっすぐ走ったときの2つだけです。2マス以上まっすぐ動けるのは工兵しかいないので、走った瞬間にその影は工兵だと確定します。それ以外の影は、動いたか動かないかしか手がかりがありません。一度でも動いた影は、動けない駒(軍旗と地雷)ではない、という消去法だけが残ります。

この「分かったことを覚えておく」負担が、紙と駒で遊ぶ軍人将棋のいちばんつらいところです。どれくらいの量になるかを実際に測りました。CPU同士の「ふつう」で300局を指させたところ、1局は両者合わせて平均53.9手、終局の時点で正体が割れていた相手の駒は平均7.77枚(12枚中)でした。半分より多い駒について、いつ何が分かったかを頭の中に置いたまま指すことになります。

そこでこの軍人将棋では、戦いで正体が分かった相手の駒に、盤の上で駒の名前の札が残るようにしました。書き留める必要はありません。さらに相手の影を長押しすると「たぶん大将」のような推測の印を自分で付けられます。印は不明・推測・確定の3段階で、同じ駒をもう一度選ぶと推測と確定が入れ替わり、その対局のあいだ残ります。暗記の勝負にしないために入れた仕組みです。同じ考えで作ったのが伏せて同時に出す読み合いゲームを無料公開した|サルベージ・ベルで、あちらは使い終えた錘の数字を画面に残したままにし、伏せるのは「今回どれを選んだか」だけにしています。

見落としやすい危険は、画面の側から知らせます。自分の軍旗に通じるまっすぐな道が開いているあいだは、軍旗のまわりに赤い輪が出ます。そこに相手の工兵が入ってくれば、何マス離れていても1手で軍旗の隣まで走り込まれるからです。輪が出たら、道をふさぐか、その直線にいる影を先に退けることになります。

盤の情報がすべて公開されているゲームの記事としてアルティメット三目並べのルールと勝ち方|普通のマルバツとの違いも書いていますが、あちらは見えている盤をどう読むかの勝負で、軍人将棋は見えない駒をどう絞り込むかの勝負です。同じ1人用でも、考える対象がまるで違います。

正体が分かった影に少将の名前の札が残り、別の2つの影に大将・地雷の推測の印が付いている盤

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編成3つは何が違うのか|数が変わるのは少将・大佐・少尉だけ

12枚の内訳は、対局ごとに突撃・守備・かく乱の3つから選べます。軍旗・スパイ・地雷・工兵に加えて大将と中将も各1枚で固定なので、実際に数が変わるのは少将・大佐・少尉の3種類だけです。残りの8枚の配り方を変えているだけ、と考えると分かりやすいです。

編成 残り8枚の内訳 性格
突撃 大将1・中将1・少将3・大佐2・少尉1 少将が3枚。正面からぶつけて押し切る
守備 大将1・中将1・少将1・大佐5 大佐が5枚。数で道をふさいで守る
かく乱 大将1・中将1・少将2・大佐2・少尉2 階級1の駒が4枚そろい、ぶつけても手がかりが少ない

かく乱の「階級1が4枚」は、少尉2枚にスパイと工兵を足した数です。階級1の駒をぶつけられても、相手からはそれが少尉なのかスパイなのか工兵なのかが分かりません。編成の違いは駒の強さの合計ではなく、ぶつけたときに相手へ渡す情報の量の違いとして作ってあります。編成を選べるのはあなたの側だけで、相手の編成は毎局この3つからランダムに決まり、対局中は伏せられています。何だったかは対局が終わったあとの結果画面に出ます。戦いの結果から相手の階級の偏りを読み取ること自体が、推理の一部になっています。

編成の釣り合いはどう確かめたか|総当たり720局の自己対戦

3つの編成に有利不利が出ていないかは、自己対戦で測って確かめました。3つの編成の総当たりで720局を指させ、平均勝率が49.2% / 49.0% / 51.7%に収まることを確認しています。記事を書くにあたって乱数の種を変えてもう一度同じ720局を回したところ、突撃50.4% / 守備47.8% / かく乱51.8%(引き分けは0.5勝として計算)になり、どの編成も釣り合いの範囲から外れませんでした。

先手と後手の差も同じやり方で測っています。「ふつう」同士の300局で、先手の勝率は51.2%(153勝146敗1分)でした。先手の得が大きいゲームでは持ち点で埋める必要があって、マンカラの先手有利を先蒔き料3粒で埋めた|無料・CPU対戦では、囲碁のコミと同じ考え方で後から蒔く側のゴールに3粒を先に入れています。軍人将棋は手番の有利が小さいので、先手・後手はハンデではなく好みで選べるようにしてあります。同じ300局で決着の内訳を数えると、軍旗を取っての決着が270局、相手の動ける駒が尽きての決着が29局、120手に達した引き分けが1局でした。軍人将棋の勝負は9割方、軍旗の取り合いで決まります。

並べ方にも、あとから入れた規則があります。おまかせ配置は、軍旗の正面のマスに必ず階級2以上の駒を置き、地雷は軍旗の斜め前か真横に置いて正面には置きません。軍旗の正面を地雷や少尉にすると、相手の工兵がまっすぐ走り込んで地雷を取り除き、そのまま軍旗まで抜けてしまうためです。この対策を入れる前は、実測で8手で決着する対局が出ていました。手で並べるときも、軍旗の正面には大佐以上を置くのが安全です。

CPUの3段階は何が違うのか|確率で盤を5通り思い描く

CPUの「やさしい・ふつう・つよい」は、相手の駒の正体をどこまで推理するかで分けています。強さの違いを読む深さだけで作ると、伏せた駒を相手にする軍人将棋では差が出にくいためです。

  • やさしい:相手の伏せた駒を推理せず、駒の位置の良し悪しだけで指します。さらに4回に1回(25%)はわざと最善以外の手を選びます
  • ふつう:動いたかどうかと戦いの結果から、伏せた1枚ずつが何である確率かを割り出し、1手先の期待値で指します
  • つよい:その確率から盤を5通り標本抽出して「もしこうだったら」の盤を作り、それぞれ3手先まで読んで多数決で手を決めます

この3段階の差は、各20,000局の自己対戦で測りました。編成も配置も毎局おまかせで引き直して戦わせると、つよいはふつうに71%、ふつうはやさしいに79%勝ちます(先手は半々。引き分けはそれぞれ31局・99局)。「つよい」は1手ごとに5通りの盤を作り直して読みます。乱数の種は対局ごとに引き直しているので、同じ並べ方で始めても毎回同じ手順にはなりません。決まった手順を覚えて勝てるようにはなっていない、ということです。

毎日0時に切り替わる詰め問題「今日の一問」も、同じロジックで作っています。相手の駒の正体がすべて見えている状態から、決められた手数以内に相手の軍旗を取る問題で、狙う手数は日替わりで3手・4手・5手を回します。受ける側は最善で逃げるので、回り道をすると間に合いません。出題の条件は2つで、その手数より短くは解けないことと、正解の初手が1通りに決まることです。

この条件がどれくらい厳しいかも数えました。20日分・4000枚の候補の盤を通したところ、採用できたのは236枚(5.9%)でした。内訳は、軍旗までの距離の見積りで先に捨てたものが2001枚、解いてみたら狙った手数にならなかったものが1349枚、正解の初手が2通り以上あったものが414枚です。ちなみにこの記事が公開される2026年11月3日の問題は5手詰めで、26枚目の候補でこの条件を満たしました。日替わりの問題を数で決めるやり方は、数独の上級手筋7つ|X-Wingの次に覚える順番を6000問で調べたでも使っています。

今日の一問は、誰が開いても同じ問題です。日付から種を作って盤を組み立てているので、同じ日なら端末が違っても同じ盤が出ます。クリアすると連続クリア日数が記録され、何手で取れたかをXで知らせることもできます(手順そのものは共有されません)。正体がすべて見えている状態から始まるので、推理の要らない詰将棋として、通常の対局とは別の頭の使い方をする問題になっています。

軍人将棋で遊ぶには|料金・保存先・遊べる場所

料金は無料で、会員登録もインストールも要りません。戦績(勝ち・負け・引き分けと今日の一問の連続クリア日数)と設定は、お使いのブラウザに保存されます。サーバーには送っていないので、別の端末には引き継がれません。

ここに書いた勝率や手数は、すべてCPU同士の自己対戦で測った数字です。人が並べ方を工夫したり、相手の癖を読んだりしたときに同じ釣り合いになるとは限りません。遊んでみて、編成が偏っている・CPUが弱すぎる(強すぎる)と感じた点があれば、調整の材料にします。