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同値分割と境界値分析の効率的なテスト設計の基礎と応用

ソフトウェアテストでは、効率的にバグを発見し、品質を向上させるために効果的な技法を活用することが重要です。その中でも「同値分割」と「境界値分析」は、ブラックボックステストの一環として広く使われる技術です。これらは入力値のグループ化や境界でのエラー検出にフォーカスし、テストケースの網羅性と効率性を両立します。

本記事では、この2つの技法を基礎から実践的な活用方法まで詳しく解説します。

1. 同値分割と境界値分析とは?

同値分割とは?

同値分割は、テストする範囲を「同じ結果を期待できるグループ(同値クラス)」に分割し、それぞれのグループから代表的な値を選んでテストを行う技法です。ブラックボックステストの代表的な手法として、入力範囲を網羅しながら効率的なテストが可能となります。

  • 特徴:
    1. 入力データの冗長性を削減
    2. グループ化したクラスごとに1つの代表値でテスト可能
    3. システムが想定外の入力にどう反応するか確認できる

 

例:年齢入力欄(0~120歳の範囲)

  • 有効値クラス: 0~120
  • 無効値クラス: -1以下121以上
    例えば、有効クラスから30を選択し、無効クラスから-1121を選択することでテストケースを網羅します。

 

境界値分析とは?

境界値分析は、同値クラスで定義された範囲の「境界」をテスト対象とする技法です。境界はシステムがエラーを起こしやすいポイントであるため、特に重要視されます。同値分割で得られたグループを細分化し、エッジケースを見逃さないようにします。

  • 特徴:
    1. 境界の値付近で発生するエラーを効率よく検出
    2. テストケースに特化した重点的な設計が可能

 

例:年齢入力欄の境界値

境界値は「0」と「120」の付近に注目します。

  • 境界: -1, 0, 1, 119, 120, 121

 

2. 同値分割と境界値分析の違いと関係性

違い

同値分割と境界値分析は目的が異なりますが、補完的に活用できます。

  • 同値分割: 入力値を同じ挙動を期待できるグループに分類
  • 境界値分析: 各グループの「境界」に焦点を当ててテスト

 

具体例で比較

  • 同値分割の適用例:
    年齢が0~120の間であることを確認するために、30(有効クラス)と-5(無効クラス)を選択。
  • 境界値分析の適用例:
    境界付近のエラーを確認するために、-1, 0, 120, 121を選択。

 

関係性

同値分割で効率的にグループを設定し、境界値分析でグループの重要なポイント(境界)を補足することで、テストの精度と網羅性を同時に向上させます。これにより、無駄なく効率的なテストケース設計が可能となります。

 

3. 同値分割と境界値分析の実践方法

例1:年齢入力欄のテストケース設計

  • 仕様: 年齢入力欄は0~120歳の間で受け付ける。
  • 同値分割:
    • 有効値クラス: 0~120(例: 30)
    • 無効値クラス: -1以下121以上(例: -5, 130)
  • 境界値分析:
    • 境界値: -1, 0, 1, 119, 120, 121

これにより、少ないテストケースで重要なエリアをカバーします。

 

例2:クーポン適用条件のテスト

  • 仕様: 購入金額が1000円以上の場合にクーポン適用。
  • 同値分割:
    • 有効値クラス: 1000円以上(例: 2000円)
    • 無効値クラス: 999円以下(例: 800円)
  • 境界値分析:
    • 境界値: 999円, 1000円, 1001円

 

例3:パスワード入力チェック

  • 仕様: パスワードは8~16文字である必要がある。
  • 同値分割:
    • 有効値クラス: 8~16文字(例: 10文字)
    • 無効値クラス: 7文字以下, 17文字以上(例: 6文字, 20文字)
  • 境界値分析:
    • 境界値: 7文字, 8文字, 16文字, 17文字

 

4. 同値分割+境界値分析を効率よく適用する

  1. 仕様の正確な理解
    同値分割と境界値分析を正確に適用するには、システム仕様を徹底的に理解することが必要です。仕様書に曖昧な部分があれば開発者やPMに確認しましょう。
  2. 効率的なツール活用
    • Excel: テストケースの管理や分類に便利
    • テスト管理ツール(TestRailなど): 規模が大きいプロジェクトで有効
  3. 無効値テストの重視
    システムが想定外の入力にどう反応するかを確認するため、無効値のケースも必ず含めます。

 

5. テスト効率を最大化するためのベストプラクティス

  • 自動化の活用
    SeleniumやPostmanを使ってテストケースを自動化すると、繰り返しテストが効率化されます。
  • 他の技法との併用
    状態遷移テストや決定表テストを併用し、システム全体の挙動を確認するのも効果的です。

 

6. 失敗しないための注意点

  • テストケースの過剰設計
    必要以上に多くのケースを作成すると、リソースが無駄になります。代表値の選定を慎重に行いましょう。
  • 境界値の設定ミス
    境界値を誤ると、重要なバグを見逃す原因になります。境界を明確に定義することが大切です。

 

7. 同値分割+境界値分析で高品質なテストを実現する

同値分割と境界値分析を効果的に活用することで、テストケースを最適化し、バグ検出率を高めることができます。これらの技法を実務に取り入れ、効率的なテスト設計を目指していきたいですね。

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りん
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