ラズベリーパイ?
何それ、美味しいの?
シングルボードコンピュータと言われてもまだピンとこないですよね。
最近は特に話題となることが多くなってきたIoT開発の元祖とも言えるシングルコンピュータがラズベリーパイ(Raspberry Pi)です。
もともとは子どもの教育用として2012年に発売されて、数千円で買える手頃さと、その値段からは考えられないスペックの高さから、大人も巻き込んで爆発的なヒット商品となっています。
しかし、ラズベリーパイを買いたい、もしくは買ってみたけどイマイチ何ができるかよく分からない、、、という人も多いはず。
ぼくは、ラズベリーパイに機械学習を組み合わせて、撮影した写真から特定のオブジェクトを自動検出するプログラムを作った経験があります。
この記事では、ラズベリーパイのシリーズ紹介と実際の作例、参考になった本をご紹介します。
ぜひ最後まで読んで、理解を深めてください。
ラズベリーパイとは
ラズベリーパイとは、コンピュータに必要な最低限の基幹部品を1枚の回路基盤に搭載した、超小型のシングルボードコンピュータです。
名刺サイズでありながら、HDMI、USB、有線LANの接続ポートが搭載されているため、拡張性に優れています。
また、もともと教育向けとして作られたため、安価で購入できます。
最近では、IoTを自作する際に使用されています。
日本では「ラズパイ」の愛称で有名です。
ラズベリーパイの機能
OSは「Raspbian(ラズビアン)」というLinuxベースのもので、これをパソコンでラズベリーパイ財団のWebサイトからダウンロードして、SDに書き込みます。
そのSDカードを、ラズベリーパイに差し込んでインストールすれば、ラズベリーパイを使えるようになります。
ただし、実際にラズベリーパイを動かすには、別途パソコン用のキーボードやマウス、ディスプレイとそれに繋げるケーブル、電池供給用のUSBケーブルが必要になります。
ラズベリーパイの構成は市販のパソコンとほとんど変わりません。
パソコンの本体を低価格で買えると思ってください。
次に、ハードウェアとしてのラズベリーパイの機能を紹介します。
CPU
コンピュータの心臓ともいえる中央演算処理装置。
GPU
ビデオ再生などマルチメディア担当のチップです。
インターフェイス
Wi-Fi、イーサネット、Bluetooth、USB、GPIOポート(センサーなどさまざまな電子部品をつなげられる汎用ソケット)、HDMIなど映像や音声の入出力できる機能が備わっています。
ハードディスクは備わっておらず、代わりにmicro SDメモリーカードをスロットに差して使います。
ラズベリーパイシリーズの紹介
ラズベリーパイはシリーズ化されています。
それぞれ機能や拡張性が異なるので、用途にあったラズベリーパイを購入しましょう。
現在は以下の4種類が販売されており、amazonでも購入できます。
Raspberry Pi 4
2019年9月にamazonでも購入できるようになりました。
最新シリーズで、ラズパイの中で最も優れた性能のマイコンです。
Raspberry Pi 3から約50%の高速化を実現し、電源もUSB micro-BコネクターからUSB Type-Cコネクターへ変更されています。
とにかく高性能なラズパイを使ってみたい方にオススメのモデルです。
Raspberry Pi 4 の性能
- 4K HDMIポートを2つ搭載
- 4Kp60 hardware decode of HEVC video
- Gigabit Ethernet
- Two USB 3.0 two USB 2.0 ports
- 電源はType-C
- Dual-band 802.11ac wireless networking
- Bluetooth 5.0
Raspberry Pi 3
Raspberry Pi 3 は、2に比べて熱設計が向上しているので、産業領域での使用を想定して作られています。
2までのラズパイの機能に加えて、Wi-FiとBluetoothを搭載しているので、「とりあえず何か作ってみたい」に向いている入門モデルです。
Raspberry Pi 2
Raspberry Pi 3 より安価で、Raspberry Pi Zero より性能の良いモデルです。
最近では3のモデルが使われるようになりましたが、2は制作キットが多く、3同様に「とりあえず何か作りたい」に向いているモデルです。
3より安くで購入して、学習目的やIoT自作をしたい方にオススメです。
Raspberry Pi Zero
初期のモデルです。
サイズも非常に小さく、「フリスクサイズ」とも言われています。
性能は他のシリーズに劣ります。
消費電力が抑えられるので用途によってはこちらを選ぶことがありますが、「何を買ったらいいか分からない」という方は2か3をオススメします。
ラズベリーパイの作例
ラズベリーパイはいろいろなことができ、いろいろなモノが作れます。
ぼくは、機械学習を取り入れ、ラズベリーパイに取り付けたカメラで撮影した画像から特定のオブジェクトを自動検出するモノを作った経験があります。
ここでは、どんなことをやろうか悩んでいる方向けに、他の方たちの作品例をご紹介します。
音楽プレイヤー
MP3ファイルを再生できる、簡易的な音楽プレイヤーとして使用できます。
Raspberry Pi Zeroを使った音楽プレイヤー自作キットが登場、“色付けの少ない音”を再生
写真を自動撮影する
写真を定期的に自動で撮影します。
AIを使用してみる
表情をAIで分析して、結果に合わせた絵文字をLEDディスプレイに表示します。
モバイルルーター
Raspberry Pi 3 と格安SIMを組み合わせることで、モバイルルーターとして使えます。
MVNOの格安SIMを使ってRaspberry PiでLTE3Gモバイルルータを作ってみよう!
ロボットアームを作る
「みんなのラズパイコンテスト2016」で技術賞を受賞したネジを拾うロボットアームです。
Raspberry Piにサーボを付けてロボットアームを作ってみた話
参考になった入門書や参考書
個人的に、ラズベリーパイにおいては、本を買わなくてもネット情報で十分なことが多いです。
特に、OSのインストールなど、初期設定に関してはどの本もちょっと中途半端な感じなので、ググりながらでもできます。
ただ、電子工作をがっつり取り組みたいならラズベリーパイ関連の本を1冊は買う必要があると思います。
ラズベリーパイを使う際に参考になった入門書・参考書をご紹介します。
カラー図解 最新 Raspberry Piで学ぶ電子工作 作って動かしてしくみがわかる
タミヤの工作キット + WebIOPiを使ったキャタピラ式のラジコン製作の記事が面白いです。
回路図、配線図がしっかりしていて、丁寧に解説されています。
かなり丁寧に解説されていて初心者向けです。
購入時の注意として、こちらは改訂版でカラー化したもので、古い版がモノクロになっています。
みんなのRaspberry Pi入門
- Python 3
- 日本語の入力はibus-mozc
- RaspbianのインストールはNOOBS経由
Pythonの解説とRaspbianのセットアップに重点を置いてます。
LED、モーター、カメラモジュール、センサーなど基本的な部分から解説されています。
書店に古い版が置いてあることがあるので、購入時は注意が必要です。
まとめ
- ラズベリーパイはLinuxを搭載しつつGPIOも使える万能型のIoT開発ボード
- サーバーや電子工作、PCなどにも活用できる
- 1,500〜4,000円前後で購入できるシングルボードコンピュータ
- 子どものプログラミング教育用として始められる
- 大人が本気で遊べる奥深さもある
ラズベリーパイは毎年のように新しいモデルが登場し、性能も使いやすさもますます進化しています。
それでいて、価格はほとんど変わらず、4,000円前後とパソコンに比べて非常に安価で購入できます。
また、インターネット上には多くのオリジナルラズパイ作品とそのプログラムコードが公開されています。
これによって、プログラミング初心者でも手軽に始めやすいだけでなく、開発の自由さから、上級者が本気で遊べる奥深さもあります。
これが、子どもから大人まで、世界で人気になりつつある理由なのだと思います。
ラズベリーパイを通して、まずは気楽に楽しく、プログラミングを始めてみてください。